除籍・改製原戸籍とは?相続で必要になる理由とあわせてわかりやすく解説

行政書士の奥田です。
相続の手続きをすることになり、戸籍を集めていると、「除籍や改製原戸籍も必要です」と言われて困ってしまった方も多いのではないでしょうか。
普段の暮らしの中で、ご自身の現在の戸籍を取得することはあっても、「除籍」や「改製原戸籍」を意識することはほとんどないですよね。
この記事では、除籍と改製原戸籍がどのような戸籍なのか、そしてなぜ相続で必要になるのかを解説します。
相続ではなぜ「出生から死亡までの全ての戸籍」が必要と言われるのか
その答えは、「相続人をもれなく確認するため」です。
例えば、お父様が亡くなり、亡くなった時点の、つまり最後の戸籍だけを取得したとします。
あなたが既に結婚していて、お父様の戸籍から抜け、ご自身の戸籍を作っているとしたら、お父様の最後の戸籍にはあなたの名前は載っていません。この戸籍だけでは、あなたがお父様の子であること、つまり相続人であることを確認できないのです。
また、お父様の子はあなただけだと思っていても、実はお父様は、過去に別の方と結婚していたことがあり、その方との間にも子がいた、というケースもあります。
このような事実は、出生までさかのぼって戸籍を確認して初めて分かることもあります。だから、相続では「出生から死亡までの全ての戸籍」が必要と言われるのです。
このあたりのことはこちらの記事でも触れていますのでご参照ください。
さかのぼると出てくる除籍と改製原戸籍
出生までさかのぼって戸籍を取得していくと、現在の戸籍のほかに、「除籍」や「改製原戸籍」と呼ばれる戸籍が出てきます。それぞれどのような戸籍なのか、順に見ていきましょう。
除籍とは
除籍とは文字通り「除かれた」戸籍です。
では、「除かれた」とはどういうことかというと、大きくわけて2通りあります。
1つ目は、その戸籍にいる人が、結婚や死亡などの理由でひとりずつ戸籍から抜けていき、最終的に全員がいなくなることです。理由としては以下のようなものがあります。
- 結婚して新しい戸籍に入るために、今の戸籍から抜ける
- 離婚して新しい戸籍に入る(または元の戸籍に戻る)ために、今の戸籍から抜ける
- 養子縁組をして養親の戸籍に入るために、今の戸籍から抜ける
- 離縁して養子縁組を解消したために、今の戸籍から抜ける
- 死亡する
※なお、その人が今の戸籍から抜けること自体も戸籍の文中で”除籍”と表記されます。少しややこしいかもしれませんが、混同しないように注意しましょう。
また、古い戸籍(旧民法下のもの)では、戸主の地位を引き継ぐ「家督相続」によって、新しい戸籍を作るために今の戸籍から抜けるという場合もありました。戸籍を遡っていくと、今でもこのような戸籍に出会うことはあります。
2つ目は、本籍地を移すことです。これを「転籍」といいます。
転籍をすると、新しい本籍地に移り、そこで戸籍が作られるため、元々の本籍地での戸籍は「除籍」となります。
戸籍がお引越しをするようなイメージです(お引越しといっても、住所地ではなく、”本籍地”のお引越しです)。
※ただし、同じ自治体の中で本籍地を移す場合は、それも「転籍」に違いはありませんが、同じ戸籍の中で転籍の事実が記載されるだけなので、戸籍を読み解く際には注意が必要です(細かい戸籍の読み方については、また別の記事で解説する予定です)。
改製原戸籍とは
改製原戸籍とは、そのまま読むと、”改製”される”原(もとの)””戸籍”です。
戸籍は、明治時代から現在までに、法令などの改正により下記のように様式や書き方が変更されてきました。
| 改製 | 時期 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 明治19年式 | 明治19年~明治31年 | 最初の全国統一様式 |
| 明治31年式 | 明治31年~大正3年 | 旧民法・家制度に対応 |
| 大正4年式 | 大正4年~昭和22年 | 様式変更 |
| 昭和23年式 | 昭和23年~平成6年 | 新民法(家制度廃止)に対応 |
| 平成6年式(コンピュータ化) | 平成6年〜 | 横書き・電算化 |
それぞれの様式には読み方や記載内容の特徴がありますが、ここでは相続の手続きで実際によく出てくる、昭和と平成の改製を中心に見ていきます。
1つは、戦後の民法改正にともなう「昭和23年式」への改製(昭和32年法務省令第27号による改製)です。「家」を単位とした戦前の戸籍から、夫婦とその子を単位とした戸籍に変わりました。実際の改製作業は、この省令をもとに各市区町村で順次進められたので、新しく戸籍が作られた時期は自治体により異なります。
もう1つは、戸籍のコンピュータ化にともなう「平成6年式」への改製(平成6年法務省令第51号による改製)です。紙で管理されていた戸籍が、電算化された戸籍に変わりました。こちらも、実際にコンピュータ化された時期は自治体によって異なります。
この2つの改製の際に、変更後の新しい戸籍が現在の戸籍となり、変更前の戸籍が「改製原戸籍」となっています。これがいわゆる「昭和の改製原戸籍」「平成の改製原戸籍」と呼ばれる所以です。
除籍と改製原戸籍、どう見分ける?なぜ両方必要?
相続人を確認するために、まずは被相続人の出生から死亡までの戸籍を全て取得すればいいのだから、除籍謄本と改製原戸籍を見分けること自体は、さほど重要ではないようにも思えます。
ですが、取得したその戸籍が除籍なのか?改製原戸籍なのか?の見分け方を知っていると、戸籍を読み解くときの間違いを防げます。
また、それぞれがなぜ必要なのかを理解しておくと、戸籍のどこを見ればよいのかが分かりやすくなります。
除籍と改製原戸籍の見分け方
今、手元で見ている戸籍が、除籍なのか改製原戸籍なのかを見分けるにはいくつかのポイントがあります。それぞれ見ていきましょう。
★除籍の場合
①冒頭に書かれている
戸籍の冒頭に「除籍」と記載されていれば、それが一番わかりやすいですね。
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②末尾に書かれている
取得した戸籍の末尾に、その戸籍の種類(戸籍・除籍・改製原戸籍)が書かれています。
「この謄本は、除籍の原本と相違ないことを認証する」

③戸籍の事項欄に記載がある
戸籍の事項欄に、除籍になった理由が記載されています。
「家督相続届出アリタルニ因り本戸籍ヲ抹消ス」
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「全員除籍につき~本戸籍消除」
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「転籍届出~●区長から送付消除」
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なお、最新の様式では、上の方にある戸籍事項の欄に「戸籍消除」「消除日」という記載があります。

★改製原戸籍の場合
①冒頭に書かれている
戸籍の冒頭に「改製原戸籍」と記載されていれば、それが一番わかりやすいですね。
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②末尾に書かれている
取得した戸籍の末尾に、その戸籍の種類(戸籍・除籍・改製原戸籍)が書かれています。
「この謄本は、改製原戸籍の原本と相違ないことを認証する」
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③戸籍に、改製により新戸籍を編成したことで消除となった旨の記載がある
●冒頭の戸籍事項欄に書かれている場合
「昭和32年法務省令第27号により昭和38年10月7日あらたに戸籍を編製したため本戸籍消除」

●冒頭(枠外)に書かれている場合
「平成6年法務省令第51号附則第2条1項による改製につき平成11年3月6日消除」

除籍と改製原戸籍、全て必要な理由
除籍や改製原戸籍とは何なのかがわかってきたところで、あらためて「なぜ除籍も改製原戸籍も全て必要なのか?」について確認していきたいと思います。
大きなポイントは「除籍された人は、新しい戸籍には引き継がれない」ということです。
これは言い換えると、「その戸籍にしか存在がわからない人がいる」ということになります。
その人(被相続人)の人生において、最終的に戸籍が何通になるかは人それぞれです。生まれてから亡くなるまで、戸籍が全部で5通とかそれ以上になる人もいれば、1通だけという人もいます。
長く人生を生きられたり、結婚や離婚、養子縁組または転籍などの人生のターニングポイントが多ければ多いほど、作られる戸籍の数が増えるといっていいかもしれません。
そして、戸籍が新しく作られるたびに、そのとき一緒に載っていなかった人、つまりすでに除籍されていた人は、新しい戸籍には引き継がれません。
冒頭でお伝えした例を思い出してみてください。お父様に、あなたのお母様と結婚する前に別の方と結婚していたことがあり、その方との間に子がいた場合です。
もし、その方やお子さんが、戸籍が作り変えられる前にすでに除籍されていたとすると、作り変えられたあとの戸籍には、その方やお子さんの記載は一切引き継がれません。現在の戸籍をどれだけ見つめても、その存在にはたどり着けないのです。
ところが、除籍謄本や改製原戸籍まで確認すると、そこには結婚や離婚、出生等の事実や、除籍されたことの記載がそのまま残っています。「●●(配偶者の氏名)と婚姻届出につき除籍」「養子縁組届出●●(養親の氏名)戸籍に入籍につき除籍」、あるいは「家督相続届出アリタルニ因り」「全員除籍につき」といった記載の奥に、現在の戸籍には現れない家族関係が眠っていることがあるのです。
つまり、除籍謄本や改製原戸籍は、単に「古い戸籍」というだけでなく、そこにしか残っていない情報を持った、相続人確認に欠かせない資料なのです。だからこそ、相続では出生から死亡まで、すべての戸籍を漏れなく確認する必要があります。
終わりに
いかがでしたでしょうか。ここまで、除籍と改製原戸籍について解説してきました。
それぞれの意味や見るポイントを知ることは、その戸籍の時代に被相続人やその家族にどのような出来事があったのかを読み解く、理解することの大きな助けになるはずです。
また、「出生から死亡までの全ての戸籍」が本当に揃っているのかを判断するためにも、各戸籍についての理解は重要です。本籍地の役所に戸籍を請求し、受け取った戸籍一式を見て「これで全て揃った」と思っていても、思わぬところで「1通だけ抜けていた」「そこにもう一人、子どもの存在が発覚した」ということはあります(そこを見逃さないための、細かな戸籍の読み取り方については、また別の記事に譲ります)。
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